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株式会社北斗型枠製作所様

“縦縞を横縞に変える”想いで業務変革に取り組む代表の強力なリーダーシップで現場DXを推進

 

 1966年の創業以来、コンクリート二次製品用鋼製型枠専門メーカーとして歴史と実績を積み重ねている株式会社北斗型枠製作所。営業と製造、経理各部署が一体となって業務のデジタル化に取り組み、代表取締役である遠藤 正成氏の強力なリーダーシップのもと、DX推進による大きな成果を成し遂げています。
 業務変革を支えるプラットフォームとしてのkintone活用とその取り組みについて、遠藤代表とkintone導入プロジェクトの中核を担う型枠営業部 課長 渡邉 克史氏にお話を伺いました。

 


インタビューイー:株式会社北斗型枠製作所 遠藤様 渡邉様

 

Index

 

【課題】紙の業務が中心で、部署ごとに閉じた非効率な業務による課題が顕在化

 

テトラポットや縁石などコンクリートを素材にしたブロックを製造するための型枠を製造販売するなど、コンクリート二次製品用鋼製型枠専門メーカーとして全国のコンクリートメーカーに対して、フルオーダーメイドで型枠を提供している株式会社北斗型枠製作所。1966年創業と半世紀にわたってこれまで多くの型枠を提供しており、“型にハマらない”“枠を超える”をキーワードにさまざまな用途の型枠を手掛けています。

 

 現場第一主義を徹底することで、発注者の意向だけでなく、型枠を必要とする現場作業者の声を丁寧に拾い上げ、その声をヒントに改良を重ねながら、現場への最良な型枠提供に向けて日々営業活動に勤しんでいます。

 

 

 そんな同社では、これまで紙を使った業務が中心で、各部署の進捗状況が迅速に把握できず、その都度電話や面談での確認が必要な場面が多岐にわたっていました。事務作業においても、二重三重の入力作業が散見され、各部署における業務負担が大きなものとなっていたのです。

 

 「例えば見積書は会計システムで作成するものの、受注した型枠に対する積算書はExcelで、製造指示書は紙に記載してコピーしたうえで製造現場に受け渡すなど、非常にアナログな業務フローでした。書類を処理する総務でも手入力が多く、書き間違えなどのリスクを常に抱えていたのです」と遠藤代表は当時を振り返ります。

 

 経営的な目線で言えば、必要なデータが各所に分散しており、当月の受注金額を知ろうとすると、製造指示書をかき集めてきて把握せざるを得ないような状況が続いていました。製造プロセスを把握するための工程表も現場それぞれで運用しており、いつでも見える状況にはなかったのです。

 

 

 市場においてデジタル化やDXというキーワードが広く語られるようになるなか、アナログな業務による非効率な環境から脱却するべく、一旦はシステム化に取り組んだ経験もあると言います。

 

 しかし、一部の業務は紙やExcelからの脱却を果たしたものの、思うように改善が進まない状況に陥ります。「将来的には自分たちで内製化できることも期待して、ある仕組みを導入しました。営業部では、見積作成から社内の製造指示書までは1本化することで、確かにExcel業務から脱却できました。

 

 しかし、あくまで営業部だけの仕組みで、製造や経理部など周辺部署への連携が難しかったのです」と渡邉氏。各部署にデータを受け渡した後は再び入力を余儀なくされるなど部署ごとに閉じた仕組みのため、抜本的な改善には至らなかったのです。

 
 

【選定】「ユニフォームを縦縞から横縞に」の気構えで新たな仕組みづくりを依頼

 

 そんな状況下において知り合いの社長から紹介を受けたのが、サイボウズの提供するkintoneであり、kintoneの構築から現場への定着含めた業務コンサルティングを手掛けていた矢内でした。「数年間運用してきた既存の環境がなかなか前に進まない状況だったことから、一度話を聞いてみることにしたのです。

 

 そこで、入社1年目のメンバーでもkintoneでアプリを作成して業務改善が進むなど、いろいろ貴重なお話がお聞きできた。ちょうどその企業のkintone導入支援を行っていたのが矢内さんでした」と遠藤代表。

 

 

 当初の打ち合わせに同席した渡邉氏は「最初にできることを聞いてみると、基本的にはある程度のことは何でもできるという話でした。ただし、kintoneは1つの道筋を作って、そこから枝葉となるアプリを制作していくことで業務を一本化していくもので、お客様の情報を持つ営業の業務から最終的な経理まで一本化していきたいという我々の思いと重なる部分も。全てを一気にシステム化せずとも、運用でカバーするところも含めて十分実現できるのではという印象を持ちました」。

 

 kintoneの可能性について評価しながら、矢内についても好印象だったと渡邉氏。「私も以前の仕組みで経験したことですが、業界のことも我々の会社の中身も詳しくない方が仕組みを作るのはとても難しいものです。その点矢内さんは、わからないことをわかっていらっしゃる方で、それも含めてしっかり取り組んでいたける印象でした。とても気さくな方で、お話ししていて正直不安は感じなかった」。

 

 遠藤代表が当初から矢内に要求したのは、現状の業務にとらわれないこと。「今の業務路線が間違っていないのであれば、それをデジタル化して改善して欲しい。ただし、今の業務の動きが正しいとは限らないため、我々が持っている固定観念にとらわれることなく、効率が上がるのであれば抜本的に変えてもらっていいとお願いしました。

 

 阪神タイガースのユニフォームを縦縞から横縞に変えてもいいと表現した記憶があります」。新たな環境づくりは、特に事務所メンバーからはいい顔をされなかったと当時を振り返りますが、遠藤代表の強力なリーダーシップのもと、抜本的な業務変革への決断をすることになったのです。

 

 そんな遠藤代表の思いを受け、プロジェクトをスタートさせることに。「例えば会議資料ひとつをとっても、今まで当たり前のようにやっていた業務があり、この形式でないとダメだという思い込みが強かった。

 

 そんな状況下で矢内さんは“書式を従来通りにする必要がありますか”、“この情報って本当に必要ですか”など、“健全な疑問”をその都度提示してくれました。必要な情報、必要なプロセスを取捨選択していくことで、根本的に間違えていたという認識をしっかり持つことができたのです。しっかりとした業務改革への第一歩を踏み出すことができると実感した瞬間でした」と渡邉氏。

 

 

 結果として、業務改革を実現するためのプラットフォームとしてのkintoneをベースに、そのプロセス作りを矢内が支援していくことになったのです。

 
 

【効果】20%の業務負荷軽減に貢献、現場のDX化に向けた取り組みに貢献

 

 現在は、8割以上の社員が業務プラットフォームとしてkintoneに触れており、製造の進捗状況がビジュアルで確認できるKANBAN、アプリ間の集計や処理の自動実行などを行うkrewDataやスケジュール管理のKOYOMI、FAX連携、帳票作成のレポトンなど、有料無料含めた複数のプラグインを組み合わせて最適な環境を整備しています。

 

 渡邉氏が率いる営業部では、KOYOMIからの日報入力や案件管理、見積書や積算書作成、クレーム報告など、通常業務に欠かせない多くの業務にkintoneを活用しており、入力された情報を閲覧する遠藤代表は、スマートフォンにてスケジュールや案件情報を確認し、必要に応じてコメント機能にて担当者とのコミュニケーションを図っています。

 

 

 具体的なアプリとしては、各種マスター情報を管理するアプリとともに、営業部においては工事総額を算出する概算見積アプリや見積作成を行う見積管理アプリ、受注案件管理アプリ、そして製造部への製造指示のための工番発行を行うアプリなどが用意されています。

 

 また、製造管理アプリを中心に、製造部では各種仕様書アプリや組立管理記録アプリ、製造作業日報などを経て積算書管理アプリに情報を集約し、製造管理にその実績を返すことで積算情報の予実管理を実施。実際の納品後は納品出荷&請求登録アプリを経て、売上計上のための月次請求管理アプリにて仕訳情報を作成、クラウド会計へ連携させることで経理部までの業務を一気通貫で行うことが可能な環境を作り上げています。

 

 

 また、原材料としての鋼材見積と鋼材発注アプリがプラグインを用いてFAX連携しており、製造管理アプリに紐づいた形でクレーム管理アプリを用意、業績報告会資料の作成のために受注前の客先ヒアリング情報アプリや営業日報アプリなども運用しています。

 

 「社員全員にiPadが支給されていますが、製造現場では文字や数字の入力にストレスがあるとの声が寄せられました。そこで、選択していくだけで必要な情報が記載できるようにするなど、入力の負担軽減に努めています」と渡邉氏。

 

 実際の支援体制については、プロジェクト発足当初は業務に精通した各部署の担当者とともに詳細な業務設計を実施していきながら、現在は月一回開催される定例会議にて現場の課題と解決策を議論したうえで業務アプリの追加、改善を続けています。

 

「緊急の事案があれば、その都度Zoomなどを使って打ち合わせをしています。フットワークの軽さについても本当に助かっています」と渡邉氏は評価します。

 

 アプリ開発は基本的に矢内に集約していますが、いずれは自分たちでも開発できる環境は整備していきたいと意欲的です。「現在でもExcelで運用している業務は残っています。いずれ現場で課題が出てくれば、その場で改修していけるような体制にしていきたい」と渡邉氏。

 

 今回新たにkintoneにて業務基盤を整備したことで、営業部については19時間ほどを要していた報告資料の作成時間を1時間にまで圧縮することに成功しただけでなく、総務部では33時間ほどかかっていた納品書の入力作業を8時間に、製造部では進捗確認作業や日報入力作業などトータルで180時間かかっていた業務を42時間に減らすことができています。

 

 「スケジュール確認などは他部署に確認せずともkintoneですぐに把握できますし、入力作業の簡便化によって全体で見れば20%ほどの業務負荷軽減につながっています。二重入力がもとでのヒューマンエラーの軽減にも大きく貢献しています」と渡邉氏は評価します。

 

また、製造部の班長からは紙面のペーパーレス化に取り組みたい、こんなデータが欲しいといった、デジタル化への意欲的な声も聞かれるなど、現場の意識改革にも一役買っています。まさに現場のDX推進を矢内の支援が下支えしている状況です。

 

 

 経営的な視点からも、数字の可視化が進むことで経営判断の迅速化に役立つだけでなく、少数精鋭でも滞りなく業務が推進できるようになったと高く評価します。「産休に入るメンバーが出たことで請求書発行などの業務が回らなくなることを危惧していましたが、問題なく運用できています。ちょうど会計システムの刷新でkintoneからのデータ取り込みが容易になったことも手伝って、人員減をうまくカバーできました」と遠藤代表からの評価も上々です。

 

 実際の展開時には、各部署をけん引する高い推進力を持った担当者を集めて綿密に擦り合わせを行うことで、うまく現場に広めていくことができました。「システム化に向けては、早期に結果を求められる場面もありましたが、データ蓄積など土台作りの大切さをうまく矢内さんから説明いただき、地味な作業の繰り返しで我慢してもらいながらも最適な仕組みが整備できました。

 

 現場に影響力を持つメンバーを最初からプロジェクトに招聘できたことが、うまく展開できた工夫の1つです。そのメンバーと一緒に、必要な業務の洗い出しはもちろん、実際のロールプレイングを経てアプリの微調整をしっかり行うなど、現場に寄り添いながら支援いただけたことに感謝しています」と渡邉氏は矢内のプロジェクト推進力を評価します。

 
 

【今後】情報の蓄積で未来の数字を可視化、kintoneをさらに醸成させ業務改革を加速

 

 

 今後については、現場含めたペーパーレス化や入力作業のさらなる軽減とともに、部署の垣根をなくして風通しのいい職場づくりを目指していきたいと言います。「最終的なゴールとしては、月初の段階で着地点となる売上数値がしっかり代表に報告できるような情報がしっかり蓄積できる基盤づくりを目指していきたい」と渡邉氏。

 

 また、事務所内にはまだExcelを駆使している業務も残っているため、kintoneへ展開していけるような環境整備にも期待を寄せています。「プロジェクトに参加したメンバーは、すぐに矢内さんに相談してkintoneにて改善していく話にもっていきやすいですが、他のメンバーはまだそこにつながっていかない。kintoneを社内に浸透させていくための勉強会などを開催しながら、業務改革の流れを加速させていきたい」と今後について遠藤代表に語っていただきました。

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