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飯塚産業株式会社様

導入支援内容:kintoneアプリ開発・業務手順再設計

支援期間:2019年2月〜

手書きとFAXとエクセルのレガシー管理からkintoneを中心とした業務フローに大変身

 

飯塚産業株式会社 代表取締役社長 飯塚隆司さん

飯塚産業株式会社 経理マネージャー 市川睦さん

 

 

飯塚産業株式会社は昭和48年に創業しました。当初は水産加工業でしたが、その後、廃棄物収集運搬業を手がけるようになりました。代表取締役社長の飯塚隆司さんは3代目で、廃棄物処理のプロフェッショナルとして業務を行っています。

 

長年、情報の共有に課題を抱えたまま仕事を進め、社内では言いたいことが言えない雰囲気まで生まれていました。2018年に私のセミナーを聞いてくれたことがきっかけで、業務改善のお手伝いをすることになりました。

 

今回は、不満はあるがどうしていいのかわからなかった、という状況から、社員さんが仕事に誇りを持ち、積極的に業務改善の意見を言えるようになった経緯を紹介します。

 

■社内の空気を変えたいがどうしていいのかさえわからなかった

 

2018年まで、飯塚産業では情報の共有に関して課題を抱えていました。飯塚さんの頭の中にはすべての情報が入っているものの、社員さんに伝え切れていなかったのです。当然、社員さんの側からすると、仕事をする中で、そこまでの話は聞いていない、ということが発生します。しかし、飯塚さんは、ひとりひとりにいちいちすべて説明するのが面倒臭いと感じていました。

 

経理マネージャーの市川睦さんは、情報の共有以外にもたくさんの問題があったと振り返ります。

 

「やっている仕事が、昔の感じなんです。全部、手書きだったり、エクセルに入力したりするので手間がかかるのです。そういう作業はやりたくない、と思っていました」と市川さん。

 

経理システムにも悩みがありました。パッケージソフトを購入してパソコンで運用していたのだが、機能の過不足があり、飯塚産業の業務にマッチしなかったのです。

 

いろいろと良くない課題が重なっていたのですが、社員さんがなんとかしてと言える雰囲気ではありませんでした。飯塚さんも何をどうしていいのかわからないので、聞かれた質問にだけ答えるという状況でした。

 

「2018年7月に知り合いの社長がセミナーをやるから聞きに来てくれ、ということで参加しました。その中で、講師の矢内さんの話を聞きました。こんな人が福島県にいるんだ、とカルチャーショックを受けました。それで、その後の12月に私が開いている勉強会で、矢内さんに講師をしてもらったのです」(飯塚さん)

 

おかげさまで好評で、もう一度登壇の依頼がありました。同じ話をするのももったいないので、次の勉強会の時には、飯塚さんのところにkintoneを導入する事例を発表しませんか、というお話をしました。すると、飯塚さんは「とりあえず、やってみっか」という感じで、すぐにご依頼いただき、kintoneの導入も決められました。

 

最初はビデオ会議サービスの「Zoom」でオンライン打ち合わせを行い、現状の業務フローを全部もらいました。どこに重複入力している無駄があるかを洗い出すためです。そして、どんなkintoneアプリとプラグインを組み合わせれば、1回の入力で一石四鳥を狙えるか考えます。その後、二本松の事務所に伺って、お話をさせてもらいました。

 

ご依頼をいただいた企業には必ず伺います。それは、業務フロー全体を見ることによって、最適解を出せるためです。コピー機の置き場所が遠いんだなとか、ここから紙を取り出してるんだな、といったリアルに働いているシーンを見た方が、無理のない動線の中で、kintoneアプリを埋め込めるのです。

 

ただし、課題解決のアプリをいきなり作ればいいというわけではありません。集計や分析を行うには、まず元のデータが必要です。きちんとした数値を集める環境を構築しなければならないのです。その数値を集めるにはドライバーさんや周りの人の協力が必要ですが、ストレートに使ってください、と言っても心には響かない、ということを最初に伝えました。

 

そこでまず、ドライバーさんを助けるアプリが必要だということで、「動物死骸回収」アプリを作ることになりました。動物の死骸を見つけた人が市に通報すると、場所を記載した地図と共に、委託されている飯塚産業に回収依頼書のFAXが届きます。ドライバーさんに無線で連絡すると、地図を取りに事務所に戻ってきて、現場に向かいます。実際は、現場の近くにいても、地図がないとわからないということで、わざわざ戻ってくることもあり、30分~1時間のロスが発生することもあったようです。

 

そこで、ドライバー全員にタブレットを購入し、kintoneのIDも作成しました。「動物死骸回収」アプリを作成した後、飯塚さんがきちんとデモを行ったのが素晴らしいところです。ドライバーさんに「業務依頼が来たら、ここの鈴に「1」って表示されるから、タップすると地図が開くので、現場まで行けるから、やってみてって」と頼んだのです。

 

ドライバーさんの中には、タブレットを渡そうとすると「俺はガラケーしか使ったことがないから、やり方が分からない」という方もいました。しかし、車に同乗して、きちんとひとりひとりに丁寧に説明すれば、使ってくれるようになるのです。kintoneに慣れるために、練習として毎日食事の時の写真を送ってくるドライバーさんもいて、嬉しかったです。

 

「動物死骸回収」アプリには画像でFAXを添付するほか、住所フィールドプラグインを利用して、Googleマップが開くようにしています。ナビが出るので、現場まで迷わずに向かえます。そして、ついにドライバーさんから「めっちゃ便利だよね」という声をもらえるようになりました。

 

「kintoneを始める前は、不満しかありませんでした。もっとよく変えたいのですが、どう変えればいいのかが、靄がかかっていて見えませんでした。矢内さんに指導してもらうようになって、段々光が見えてきたんです」(飯塚さん)

 

■kintoneアプリを取引先に褒めてもらい誇りを持てるようになった

 

次は、一般廃棄物の集計表をkintoneに移行しました。ドライバーさんが回収した量などを記録するのですが、すべてエクセルに入力していたのです。転記作業があるので、2度手間が発生しており、面倒なだけでなく、ミスも発生していました。

 

そこで、kintoneアプリ化し、入力を簡素化しました。ユーザーインターフェースをエクセルのようにするプラグイン「krewSheet」を導入し、まとめて貼り付けられるようにしたのです。

 

kintoneそのものは安価ですが、プラグインの価格は本体よりも高くなることがあります。私は、実際に体験した上でベストマッチだと考えてお勧めしているのですが、それでも飯塚さんは「やってみなければわからないから、やってみよう。駄目だったらやめればいい」と、即答なのです。

 

完成した回収管理アプリにより、毎日30分かかっていた作業が5分に削減できました。83%の効率アップです。

 

他にも、「入出金台帳」アプリも作成しました。従来はスクラップノートにレシートなどを貼り付け、伝票は手書きで書いていました。そのため、過去のデータを探すのにものすごく手間と時間がかかっていたそうです。

 

アプリ化することで入力の2度手間がなくなり、探すのも楽になりました。また、入金伝票のようなフォーマット化された情報と、税理士向けに渡すためにエクセルの形式になっている表の両方が必要ですが、これはkrewSheetとRepotoneの組み合わせで対応しました。

 

「今まで手書きでやっていたのと比べると、ボタンを押しただけで、簡単に帳票がプリンターから出てくるって画期的です」と市川さん。科目が欲しい場合は自分でカスタマイズできるkintoneにも満足していただけています。このアプリのおかげで、1週間かかっていた作業が2日くらいで終わるようになりました。

 

市川さんはkintoneアプリの制作に関して積極的に意見を出してくれました。その理由を伺ったところ

 

 

「矢内さんが、うちの会社は宝の山だと言ってくれたんです。飯塚さんのところは問題がある会社ですよねと言われるより、宝の山と言われたことによって、意見を出しやすくなりました。質問をするとすぐにわかりやすい答えが返ってくるので、kintoneがあれば、自分たちが抱えている問題を解決できるんだ、という糸口が見つかったと感じました」と嬉しいお言葉をいただきました。

 

他には、お客さまの回収の一覧表を出すのも市川さんの仕事でしたが、それもドライバーさんに登録してもらうことになりました。回収アプリを作り、現場でお客さんのサインをもらうと、データが登録される仕組みです。

 

「ドライバーさんがお客さまのところでタブレットを出してサインをお願いした時、「何これ、すごい、画期的なんだけど。こんなのやってる業者さんがあるんだ」と言われたそうです。それで「あれ、俺たちいけてる?」と感じたそうです。それが自分たちの誇りにつながって、さらに前向きに協力してくれるようになりました」(飯塚さん)

 

本格的に動き始めてから、1年ほどでkintoneを中心にした業務フローを構築し、大きな効果が得られました。細かくヒアリングして、現場目線で考え、寄り添ってお手伝いすることで、最適解が出せたと手応えを感じています。さらに、これまでは不便を解消するアプリでしたが、ここからはデータを活かすアプリに変わっていくと感じています。

 

今後は、社労士さんや税理士さんとの情報共有環境を構築する予定です。現在でも、ゲストスペースを共有していますが、入出金台帳も共有したいというニーズが出ました。しかし、本スペースの中にある「入出金台帳」アプリをゲストスペースで使うことはできません。そこで「krewData」というプラグインでデータを同期させようと考えています。

 

その先は、手書き文字を認識するプラグインの導入を検討しています。手書きの書類をスキャンすると自動的にデータ化し、OCR処理をしたデータもレコード登録するという仕組みです。帳簿のために手打ちしていた作業の負荷を減らそうと考えています。

 

今後も、業務改善を進め、みんながよりよい環境で仕事ができるお手伝いをしていこうと思います。

 

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